読書感想「まんがで読破 武士道」

まんがで読破シリーズがkindleで11円セールやっていたので20冊ほど購入してみました。まんがで読破シリーズの存在は昔から知っていたのですが、どうせ薄っぺらい子供だましなんだろ、と正直ナメていていました。が、読んでみたら意外とクオリティ高くておどろきました。基本的に難しい原著の内容を漫画で分かりやすく解説しています。いきなり原著を読むよりも漫画である程度理解してからよむと深い理解が得られるのではないでしょうか。この手の本はどうしても、作者の気持ちというか解釈が入ってしまうので、そこらへんで評価が分かれてしまうようです。

 

さて、武士道ですがこれは新渡戸稲造著書の武士道の漫画版となります。ちなみに漫画だと後半でなぜか忠臣蔵が始まります。これは、ページを増すための策なんでしょうけど、どうかと思いますねw

 

何故、武士道を書くに至ったか
新渡戸稲造が武士道を書くに至った理由として海外留学中の経験が書かれております。留学中に日本人の道徳観の基準は何かということを説明できなかったことがきっかけとのことです。欧米では道徳観としてキリスト教がその役割を果たしていますが日本の場合、神教・仏教があるものの明確な基準として役割を果たしていたわけではないからです。「お天道様がみている」なんて言葉はあったりしますが、ここら辺の概念を上手く説明するのは難しいのでしょう。帰国した新渡戸稲造は、そのことを考えに考え、著したのが武士道です。

武士道の感想
義・礼・勇・誠・仁・名誉をの観点で武士道について、日本人の根本となる考え方欧米諸国の考え方との違いについて本書では解説されていきます。その中で印象的だった所に触れます。


匹夫の勇
勇気と言ってもわざと危険を冒し討ち死にすることを指す言葉です。これではただの犬死として蔑まれたようです。本当の勇気とは生きるべきときに生き死ぬべき時に死ぬ、無意味な所で勇気を振り絞ってもしょうがないのです。車の運転中に煽られても、勇気を出して対抗しては行けません、スルーしてやり過ごす勇気を持ちましょう。無意味な戦いを避ける、これは様々な偉人たちが説いてきた言葉ですね。勇敢と無謀は違うといった所でしょうか。

義と仁
義は厳しさ、仁は優しさ。どちらかに偏ってはいけないバランス感覚が大事。仕事でも家庭でも言えることでしょうね。


度を過ぎた礼はもはやまやかしである。
作法だけで気持ちがこもっていなければ何も意味がない。これは意外でしたね。当時からこのような考えがあったのでしょうか。これは作者の解釈なのか、原作に書かれているかは不明ですが、形だけの礼は無意味ですね。ルールにとらわれ形骸化したり本質を見失ってはいけません。
守・破・離の考えですね。
利休「規矩作法 守り尽くして破るとも離るるとても本を忘るな」

まんがで読破シリーズ想像以上に面白かったです。時間があれば新渡戸稲造の方も読んでみたいと思います。こちらは相当難易度が高いようで挫折し方も多いようです。