読書感想「資本の世界史」

ドイツの本です。なにがきっかけで買ったかは覚えていないですね。


原著のタイトルは「資本の勝利」。「資本の勝利」というには歴史的な解説部分がが多く「資本の世界史」というには著者の意見が多い本だったので、なかなかタイトルの付けにくい本だったように思えます。単純に経済史を勉強したい方には不向きな本ですね。

内容としては大きく分けて、資本主義の歴史→資本主義に関するの批判→環境問題を絡めた提言のについて書かれています。後半は金融危機、主にリーマンショック、ユーロ危機について書かれています。時期的にも丁度、ユーロ危機が巷で話題になっているころに書かれた本です。


新自由主義がいかに欺瞞かを暴露するために書かれており、「資本主義は国家と対立するものではない」等の国家と市場の関係やあり方が書かれています。

個人的になるほどなと思ったところは、「景気後退と金融危機は別、景気後退の後に金融危機が来る」というところでした。

全体的に図やグラフなどもなく文字だけですが、難しそうな見た目の本ですがわかりやすく書かれています。著者の考えの根底としてケインズがあるようで、新自由主義を批判しケインズ的な政策を進めるべしという論調です。ただ、こういう本にありがちな著者のあるべき論でまとまっており、提言にどの程度の有効性があるかは疑問が付くところです。

普段あまり読むことのないドイツの本で、ドイツ人は過去の経験からインフレを極端に恐れているなど、なかなか知ることのない視点もあり面白かったです。